片側の顔面運動機能が低下し目を閉じることができない、うがいをしても口の脇から漏れてしまうなどの症状がみられます。さまざまな原因で生じますが、ベル麻痺という病気が多いです。ベル麻痺は脳の病気とは関係なく、急に顔面神経に炎症を起こし顔面神経麻痺のみが起こる原因不明の病気です。
その他耳介の発疹や、難聴、めまいを伴う帯状疱疹ウイルスによるもの(ハント症候群)、脳卒中などの脳の病気、外傷、腫瘍、全身性疾患に伴い顔面神経麻痺は起こる事があります。
顔面神経は脳から出てきて聞こえの神経と一緒に外に向かい、その後は耳下腺といって唾液を作る臓器の中を通って顔の筋肉に達します。ですから耳の病気、耳下腺腫瘍などでも生じます。いづれにしても麻痺をなるべく残さないために早期の治療が重要です。
ベル麻痺やハント症候群のような、末梢神経の炎症に伴う顔面神経麻痺は、ステロイドといったお薬で治療をします。約1週間ステロイドの内服もしくは点滴治療をおこないます。点滴の場合は入院加療が必要となることがあります。治療後早急に麻痺は回復せず、治療中も一時的に増悪することもあります。個人差はありますが、ゆっくりと改善にむかいます。ハント症候群の方が難治性で、ベル麻痺と比較し改善が悪い傾向にあり、治療の甲斐なく麻痺が残ることもあります。
なお強力な表情筋の運動や、電気刺激による治療をおこなうと、かえって後遺症を強めてしまいますので、過度な表情筋運動は避け、マッサージやストレッチにとどめることは重要です。
大きないびきをかき、寝ている間に10秒以上呼吸が止まったり、呼吸が低下したりということを1時間に5回以上繰り返す場合に閉塞性睡眠時無呼吸と言われます。
主な原因は体重過多(肥満)です。また扁桃肥大、下顎が小さいことなどからのどが狭くなることも原因となります。自覚症状としては、朝起きても爽快感が無く疲労感があり、会話や食事をしたり運転をしているときでも眠ってしまうといった昼間の過度な眠気がありますが、中には自覚が無い方もいて他人から指摘を受けて初めて気づかれる方もみえます。
閉塞性睡眠時無呼吸は高血圧などの心血管病変、交通事故の危険因子とも言われています。
治療は肥満がある場合は、まずダイエットが必要です。また重度の閉塞性睡眠時無呼吸の場合は、CPAPという機器を夜間に装着して治療します。顔にマスクを当て、鼻から空気を送り圧力をかけ、気道の閉塞を防ぐ機器です。CPAPは装着したその日から閉塞性睡眠時無呼吸を改善させます。CPAPに関しては毎月通院をしていただく必要があり、来院時に装着の効果をご報告します。
扁桃腺が大きい場合はのどの手術を受けていただくこともあります。鼻の病気がある場合は鼻の治療も重要です。マウスピースを作成し対応する治療法もあります。この場合は、歯科の先生にご紹介します。
検査ですが、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まずはアプノモニターといって自宅で検査機器を使って無呼吸の有無を確認します。アプノモニターで重度の閉塞性睡眠時無呼吸を認めた場合には、保険診療でCPAP治療が可能になります。アプノモニターで中等度と判定ありCPAP治療が考慮される場合には、ポリソムノグラフィーという精密検査を受けていただきます。ポリソムノグラフィーで一定以上の閉塞性睡眠時無呼吸が認められれば中等度の無呼吸でも保険診療でCPAP治療が可能です。